その26(10話)251【来世~日蓮の場合】 弘安五(一二八二)年、日蓮が、 武蔵国は荏原(えはら)郡池上にて、弟子たちとともに 法華経を読誦(どくじゅ)しながら入寂すると── 池田大作になっていた。 池田:「光栄です」 日蓮:「そんなわけねーだろ。このインチキやろう」 池田:「な、なんじゃとお。おれを愚弄するのかあ。 造花学会トップの、この池田大作様を 侮辱するのかあ」 日蓮:「黙らっしゃい」 池田:「いいや、黙らん。黙らん黙らん黙らんぞお。 おれはバカにされるのがいちばんいやなのじゃ。 おれをバカにするやつは、たとえ教祖でも許さんのじゃあ。 四つに折って丸めて転がして海に沈めちゃうのだあ」 日蓮:「ぺらぺらぺらぺらようしゃべるのう。 ま、破戒僧だからしゃーないか」 池田:「わああ、おれ様を破戒僧だとお。ふざけんじゃねえ。 てめえ、おれ様をだれだとおもってやがるんだ。 朕はなあ、朕は神じゃ。現人(あらひと)神じゃ。生き神様なのじゃあ。 えーい、ズがたかい。ひかえおろう」 道鏡:「ったくうるさいなあ。おい、池田。おめえさっきからなに騒いでんだ。 あたまがずきずきするじゃねえか。 ちっとは静かにしろい」 というわけで、池田大作の前世は、弓削道鏡(ゆげのどうきょう)だった。 --------------------------------------------------- 252 【ニッポン人の定義40】 砂場で拾った棒磁石に引っ付いてきた砂鉄みたいな人種。 --------------------------------------------------- 253 【さんぽいぬ】 「おい、しっぽ」 「なんや、ちんぽはん」 「くすぐったいぞ」 「え、そうでっか。ほな、これでどうや」 「うひゃああ」 「なんや、けつめどはん」 「さむいですう。吹きさらしですよぼく。ハッ、ハッ、ハックショイ!」 「あ、屁ぇこきやがった」 「しゃーないなあ。ほな、さがりまひょ」 「ありがとうございます」 「うへ。くすぐったいっていってるだろ」 「がまんしなはれ。けつめどくんのためやがな」 「ったく。おい、けつめど。おまえなまいきだな」 「すみませんです。おわびに、ぼく、おまんこになります」 「なにバカなこといってんだ。そんなもんになれるわけ──あ!」 「どないしたんや、ちんぽはん。わっ、わっ、わああ」 「いやん。感じちゃいます。しっぽさん。あ、あ、だめええ……」 「ほんとにおまんこになりやがった。おれ、たちまちぼっき」 「わい、しっぽだけに、しっぽりぬれてまう」 「えへへ。冗談ですよ。ものまねしただけですよ」 「ばかあ! ふざけんのもいいかげんにしろ! おれ、たちまちふにゃちん」 「あほお! ぬかよろこびしたやろ。どないするんや、このはなしのオチ」 「尻だけに、しりません。くるしいオチですみませんです。 でんぶぼくの責任です。これ、ケツろん」 --------------------------------------------------- 254 【あの世~名無しの場合】 胎児の名無しが、おとなの事情で水子になると── たちまち成人した。 しごにじゅう。なーんてな。 --------------------------------------------------- 255 【ガラス玉~宇宙の法則6】 完全に密封された球形の水槽ってあるでしょう。 一見すると水晶玉のよう。 なかには、水と水草と1匹の金魚が入っている。 窓辺に置き、1日に2時間ほど日光に当ててやる。 金魚はずっと生きている。 それ自体でバランスが取れているからだ。 地球もこれと同じである。 内側が液晶画面になっている球形のガラス玉のなかに、 地球がぶら下がっている。 とても頑丈なワイヤが北極点から真上に伸びていて、 それによって吊り下げられている。 このワイヤは電線にもなっていて、液晶画面へ電力を供給している。 液晶画面には太陽や星や雲が映しだされる。 プラネタリウムのでっかいやつだ。 この画像を管理しているのが、わたしの所属する宇宙連盟KPKの 地球支部「テラテラス」だ。 ガラスの壁の向こう側がどうなっているかは、一部の人しか知らない。 わたしは知っている。だけど教えない。 最近困った問題がもちあがった。 わがまま国家の北朝鮮が、マジで衛星を打ち上げるらしい。 ガラスを突き破るんじゃないかと心配だ。 --------------------------------------------------- 256 【視線~さりげないはなし】 寝床で本をよむ。 右向きになってよむ。 同じ行を繰り返しよんでしまう。 左向きになってよむ。 2、3行とばしてしまう。 視線も重力の影響下にある。 --------------------------------------------------- 257 【現代アート】 ・本の代わりにケータイを手にしている「二宮尊徳の銅像」。 ・てっぺんに衛星放送用アンテナがついている「太陽の塔」。 ・小顔メイクの「モナリザの微笑」。 ・花粉防護用マスクをしているムンクの「叫び」。 ・便座にすわっている「考える人」。 ・スコップとビニール袋を手にしている「上野の西郷さん」。 ・ソバージュの「奈良の大仏」。 ・五十階建ての「五重塔」。 ・尿石を出して苦悶している「小便小僧」。 ・小便小僧ならぬ「小便むすめ」。 ・顔が麻原彰晃の「如来像」。 ・うなじで足を組んで、腕で立っている「仏像」。 ・複数の手でガチョ~ンをしている「明王像」。 ・サングラスをしている「能面」。 ・ちんちんしている「こま犬」。 --------------------------------------------------- 258 【ニッポン人の定義41】 滝口にむかうオール無しのボート上でじっとしている人種。 --------------------------------------------------- 259 【あの世~おまえさまの場合】 おまえさまがとにかく逝くと── 「クイズ・ラーイフ・ショック!」 おそろしく高い位置にある椅子にすわっていた。 チッチッチッチッチッチッチッチッチッチッチッチッ…… 「あなたが生きた日数は?」 「えっ、えっ……3万ちょっと」 ブゥー。 「人生でいちばん大切なものは?」 「カネ! あ、いや、時間、健康、おもいやり……」 ブゥー。 「あなたの死因は?」 「老衰」 ブゥー。 「あなたの呼吸回数は?」 「え、えーとー、1億3千2百万跳んで59回」 ブゥー。 「あなたの戒名は?」 「知りましぇーん」 ブゥー。 「まばたき何回やった?」 「100億ちょっと」 ブゥー。 「いま何問目?」 「6問目」 ブゥー。 「露とをち露と消へにしわが身かな 浪速(なにわ)のことは夢のまた夢。 これ、だれの辞世?」 「昭和天皇」 ブゥー。 「コーヒー何杯飲んだ?」 「3千7百杯」 ブゥー。 「死をテーマにしたダジャレを一言」 「あのよ~」 ブゥー。 「小説‘蜘蛛の糸’の作者は?」 「村上春樹」 ブゥー。 「天使を英語でいうと?」 「キューピット」 ブゥー。 「はい、全問不正解」 タンタ・タッタ、タンタ・タッタ、タンタ・タッタ…… 「うひゃああ!」 椅子が激しく回転しながら降りていき、床をぶち破って どこまでもどこまでも落ちていった。 --------------------------------------------------- 260 【ヒゲ~さりげないはなし】 毎朝、電気髭剃りでヒゲを剃る。 洗面鏡に顔を近づけて、ジョリジョリやる。 あごの下からのどにかけての部分が剃りにくい。 よくみると、ひとつの毛穴から5,6本束になって 生えている箇所がある。 また、毛の先が別の毛穴に入り込んで、 ちいさな輪っかになっているのもある。 そうかとおもうと、5ミリくらいの長さのやつが1本、 にょろ~とあったりする。 これらはどれも剃りにくい。 悪戦苦闘していると、むなしくなってくる。 そして、自分がみじめになってくる。 どうせおれなんて、おれなんてつまらない人間さ、と。 すると彼らがささやく。 おい、じぶんを卑下しすぎるな。 ありがとう、ヒゲくん。 ジャンル別一覧
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